トラベルテクノロジー・2026年版ガイド
旅行会社向けAIツールガイド【2026年版】
AIは単一のツールではありません。事業のあらゆる領域に、それぞれ異なるソリューションが存在します。ここでは、どの場面で何を使うべきかを整理します。
mTripチーム執筆・2026年4月・読了目安8分

「どのAIツールを使うべきか」と考える旅行会社の多くは、一つの答えを求めています。しかし実際には、AIは単一の製品ではなく、まったく異なるカテゴリーのソフトウェアに組み込まれた知能のレイヤーです。重要なのは「どのAIツールか」ではなく、「自社のどの部分に最も伸びしろがあるか」という問いです。本ガイドでは、主要なAIツールを、レジャー旅行を扱う旅行会社が日々直面する具体的な課題に対応させて整理します。
以下で紹介する各ツールは、それぞれ異なる課題を解決します。互換性があるわけではなく、すべてを導入する必要もありません。まずは、貴社のチームが最も時間を失っている、あるいは最も機会損失を生んでいる領域を見極めることから始めましょう。
課題・コンテンツ作成・提案書作成・日程表の文章作成
旅行先コンテンツと提案書の作成
Claude と ChatGPT、AIライティングアシスタント
旅行会社の業務では、文章作成が最も時間のかかる工程の一つです。提案書、旅行先の紹介文、プログラム概要、ウェルカムレターは一つひとつに何時間もの手間がかかり、取扱件数が増えるほど負担も膨らみます。AnthropicのClaudeやOpenAIのChatGPTのようなAIライティングアシスタントは、こうしたコンテンツ制作業務に追われる旅行会社のチームにとって、実務的に役立つツールとなっています。
実務では、旅行先の紹介文の初稿作成、日程表の日別説明文のカスタマイズ、簡単なメモからの提案書作成、渡航前連絡用のメールテンプレート作成などに活用されています。出力内容はそのまま完成形とは言えず、優秀な担当者であれば編集や個別化を加える必要がありますが、45分かかっていた初稿作成が30秒で仕上がるのは、業務効率の面で大きな利点です。
Claudeはより自然で情緒に富んだ文章を生成する傾向があり、旅行会社が求める訴求力のある表現に適しています。一方ChatGPTはやや構造的で、定型フォーマットの作成に向いています。多くの旅行会社では、業務内容に応じて両方を使い分けています。
これらのツールは予約システムや旅程作成ツールに代わるものではなく、在庫状況や料金へのリアルタイムアクセスも持ちません。その価値は、あくまで文章作成にかかる時間を削減し、少人数のチームでもコンテンツの質を高められるようにする点にあります。
こんな方におすすめ
提案書、旅行先の紹介文、日程表の日別説明文、顧客連絡文などを大量に作成している旅行会社のチーム。
★ 注目・旅程作成ツール・ブランド化されたモバイルアプリ・リアルタイムの旅程管理
顧客体験と日程表の提供
mTrip、ホワイトラベル旅行テクノロジープラットフォーム
顧客が旅行を予約した際に受け取るのは、PDFや紙の書類であることが今も少なくありません。しかし2026年、顧客の継続利用や紹介につながっているのは、ブランド化されたデジタル体験を提供している旅行会社です。旅行会社自身の名前を冠したアプリに、完全な日程表、旅行先ガイド、リアルタイムアラート、直接のコミュニケーション機能までを組み込んでいます。
mTripは、まさにこの目的のために構築されたプラットフォームです。2009年にモントリオールで設立され、現在はMisterFlyグループの一員として、小規模な旅行会社(ツアー造成)から大手ランドオペレーター(DMC)、MICE関連事業者まで、35カ国以上・300社を超える旅行会社に導入されています。プラットフォームは4つの主要モジュールで構成されています。ホワイトラベルモバイルアプリ、AIを活用した旅程作成ツール、旅行中の日程管理機能、そしてDuty of Care(安全配慮義務)に基づくアラートを提供する危機管理モジュールです。
mTripが選ばれる理由は、自社ブランドではなく貴社のブランドに焦点を当てている点にあります。顧客向けアプリには貴社のロゴ、カラー、コンテンツがそのまま反映されます。開発チームやプラットフォーム以外の技術投資も必要ありません。インフラはすべてmTripが管理します。旅行者への提供体験を刷新したいレジャー旅行会社にとって、mTripは最初の一歩となるプラットフォームです。
こんな方におすすめ
独自にソフトウェアを開発することなく、ブランド化されたデジタル体験(日程表、アプリ、旅行中のサポート)を提供したい旅行会社、旅行会社(ツアー造成)、ランドオペレーター(DMC)。
課題・ビジュアルコンテンツ・キャンペーン・ストック写真に頼らないSNS用画像
マーケティング用ビジュアル・デスティネーション画像
Adobe Firefly と Midjourney、AI画像生成
旅行業界は世界で最もビジュアル重視の業界のひとつであり、旅行会社の成否は画像のクオリティに大きく左右されます。ストックフォトは費用がかさむうえに使い回しが多く、一般的な素材だとひと目でわかってしまう傾向が強まっています。AI画像生成はこの状況を変えつつあります。旅行会社は今、カメラマンやデザイナーを社内に置かなくても、キャンペーンやSNS投稿、パンフレット、ウェブサイト用に、独自のブランドイメージに合ったビジュアル素材を作成できます。
Adobe Fireflyは、すでにAdobe Creative Cloudを利用している旅行会社にとって最も実用的な選択肢です。PhotoshopやExpressに直接統合されており、商用利用が安全な学習データを使用している点も重要です(マーケティング資料に画像を使う場合には特に)。既存のワークフローを離れずに、デスティネーション風のビジュアルを生成・編集できます。実写を編集する用途にも強く、背景の拡張や余分な要素の除去、複数の要素を組み合わせた合成シーンの作成に向いています。
Midjourneyは、クリエイティブで雰囲気のある旅行ビジュアル、つまりSNSフィードやキャンペーンのヘッダーで効果を発揮する、憧れを誘う印象的なビジュアルの生成に優れています。安定した結果を得るにはプロンプト作成のスキルが必要ですが、印象的な独自ビジュアルを求める旅行会社にとって、その出力品質は他に類を見ません。
多くの旅行会社にとって実用的なワークフローは、メインの商品ページや顧客向け資料には実際のデスティネーション写真を使い、写真としての本物らしさよりも量とスピードが重視されるSNSコンテンツやメールヘッダー、キャンペーン素材にはAI生成画像を使う、という組み合わせです。
こんな旅行会社に最適
大量のマーケティングコンテンツを制作しており、キャンペーン素材においてストックフォトのライブラリやフリーランスデザイナーへの依存を減らしたい旅行会社。
課題・継続的な投稿・キャプション作成・複数プラットフォームでの投稿スケジュール管理
SNS運用管理
Buffer と Later、AI活用型SNS投稿スケジューリング
多くの旅行会社は、Instagram、Facebook、LinkedInで継続的に投稿すべきだとわかっています。しかし実際にできている会社は少なく、それは旅行運営と並行してコンテンツ制作と投稿スケジュール管理を行うのが本当に手間がかかるためです。AIはここ数年でこの作業を大幅に楽にしました。
BufferとLaterはいずれもSNS投稿スケジューリングツールで、現在はキャプション生成、ハッシュタグ提案、最適な投稿時間の提案といったAI機能を備えています。画像をアップロードし、デスティネーションやオファーの概要をAIに伝えるだけで、貴社のブランドの語調に合わせたプラットフォームごとのキャプションが生成されます。どちらのツールも優れたSNS戦略の代わりにはなりませんが、いずれも継続的な運用の手間を軽減します。
LaterはInstagramやビジュアル重視のコンテンツに強く、フィードの見た目の統一感を保つビジュアルグリッドプランナーを備えています。フィードの見た目がフォローや問い合わせの判断を左右する旅行ブランドにとって、これは重要な機能です。一方、Bufferは対応プラットフォームの幅が広く、ビジュアル系チャネルに加えてLinkedInも管理したい旅行会社に向いています。
こんな旅行会社に最適
マーケティング担当のリソースが限られており、SNSでの継続的な発信を維持するのに苦労している中小規模の旅行会社。
課題・営業時間外の問い合わせ・見込み客の絞り込み・返信スピード
ウェブサイトのリード獲得と顧客からの問い合わせ
Tidio、旅行会社サイト向けAIチャットボット
旅行会社への問い合わせの多くは、営業時間外に発生します。深夜に次の旅行に思いを馳せながらサイトを閲覧し、空室状況や料金について質問したいお客様もいるでしょう。こうした瞬間を逃さない仕組みがサイトになければ、リードは失われてしまいます。AIチャットボットを導入すれば、問い合わせ内容を精査し、必要な情報を収集した上で、翌朝担当者が十分な背景情報をもとにフォローアップできます。
Tidioは、旅行会社を含む中小規模のサービス業で広く導入されているAIチャットプラットフォームの一つです。自社サイトのコンテンツやFAQをもとに学習した会話型AI、担当者が対応可能な時間帯のライブチャット機能、そして人が対応する前に希望の行き先、旅行時期、人数、予算などを収集するリード獲得フローを備えています。
旅行会社にとっての主なメリットは、問い合わせの絞り込みにあります。ありきたりな問い合わせフォームではなく、Tidioが適切な事前質問を投げかけ、旅行の種類に応じて最適な担当者へ振り分けることができます。販売チャネルとしてのウェブサイトに投資してきた旅行会社にとって、これはサイト訪問者を有望なリードへ転換する成果に直結します。
こんな旅行会社におすすめ
サイトへの訪問は多いものの、対応の遅れや簡易な問い合わせフォームのために問い合わせを取りこぼしている旅行会社。
課題・ヒアリング電話・顧客ブリーフ・社内引き継ぎ
顧客との電話とヒアリング記録
Fireflies.ai、AI議事録・通話要約
旅行会社にとって最も価値のある資産は、ヒアリングの中でお客様について得られる情報です。旅行のスタイル、予算感、譲れない条件、過去の旅行経験、そして直接語られなくても示唆されていることまで含まれます。しかし多くの旅行会社では、こうした情報は担当者のメモに留まるか、そのまま失われてしまいます。Fireflies.aiは、すべての顧客との通話を自動で録音・文字起こし・要約し、チームで共有したり提案書に直接反映したりできる構造化されたブリーフを作成することで、この課題を解決します。
ヒアリング電話が30分から60分に及び、お客様の細やかな好みを多く聞き取る必要があるレジャー旅行の会社にとって、主要な旅行条件、話し合った予算、言及された旅行先、フォローアップ事項をまとめたAI要約があれば、手作業でのメモ取りの負担がなくなり、案件を別の担当者に引き継ぐ際にも情報の抜け漏れを防げます。
FirefliesはZoom、Google Meet、Microsoft Teamsをはじめ、ほとんどの電話システムと連携できます。さらに検索可能な通話ライブラリーを備えているため、担当者はフォローアップ電話の前に、3か月前にお客様が話した内容をすぐに確認できます。こうした細やかな対応があるからこそ、お客様は単なる管理番号としてではなく、きちんと理解されていると感じます。長期的な顧客関係の構築を軸とするプレミアムなレジャー旅行の会社にとって、この継続性は競合との差別化要因になります。
こんな旅行会社におすすめ
電話やビデオ通話によるヒアリングを重視し、手作業でのメモ取りをせずにお客様の希望を記録・整理・活用したい旅行会社。
課題・動画コンテンツの量産・リール・旅行先紹介動画
旅行先の動画とショート動画コンテンツ
Runway、旅行マーケティング向けAI動画生成
ショート動画は、Instagramリール、TikTok、YouTubeショート、Facebookなど、旅行会社が認知度を高めるプラットフォームで今や主流の形式となっています。しかし動画制作にはコストと時間がかかります。撮影担当者、編集ソフト、そして説得力のある30秒動画を仕上げるための工数は、多くの小規模な旅行会社にとって手の届かないものです。
Runwayは、テキストプロンプトや静止画から短いシネマティック動画を生成できるAI動画生成プラットフォームです。手持ちの旅行先の写真を、動きのある滑らかなSNS向け動画に変換できます。ハイエンドな旅行ドキュメンタリー制作の代替にはなりませんが、SNSでの露出を維持するために必要な量のショート動画コンテンツについては、制作のハードルを大幅に下げてくれます。
実践的なワークフローとしては、既存の旅行先の写真を素材として使い、Runwayで動きやトランジションを生成し、CapCutのような簡易編集ツールでコピーと音楽を加えて公開する、という流れです。2026年時点での出力品質は、SNSフィードで十分に通用する水準に達しており、特に正確さよりも視覚的な魅力が重視される雰囲気重視の旅行先コンテンツにおいて効果を発揮します。
こんな旅行会社におすすめ
動画制作専任の予算やチームを持たずに、SNS向けの動画コンテンツを継続的に制作したい旅行会社。
課題・顧客向けニュースレター・セグメント配信・旅行後のフォローアップ
メールマーケティングと顧客維持
Brevo:AIを活用したメールマーケティング
メールは、レジャー旅行を扱う旅行会社にとって今なお最も費用対効果の高いマーケティングチャネルです。素晴らしい旅を体験した過去のお客様は最も有望な見込み客ですが、継続的な接点を維持するには的確にターゲティングされたメール配信が欠かせません。AIの活用により、専任のマーケティング担当者がいなくても、こうした施策を大規模に実施しやすくなっています。
Brevo(旧Sendinblue)は、メールマーケティングとCRM機能に加え、件名の自動生成、配信タイミングの最適化、リストのセグメンテーションを行うAIツールを兼ね備えており、旅行会社の間で人気が高まっています。過去のキャンペーンにおけるエンゲージメントのパターンをAIが分析し、コンタクトごとに最適な配信タイミングを提案するため、長年の予約データからリストを構築してきた旅行会社では開封率が大きく向上します。
Brevoが旅行会社に特に適しているのは、自動化ワークフローの機能です。旅行後のメールシーケンス、記念日のリマインダー(ハネムーンや記念日旅行市場に効果的です)、季節ごとのキャンペーントリガーなどを、手作業なしで運用できます。さらにClaudeやChatGPTによるAI生成コピーと組み合わせることで、最小限の運用工数で高度な顧客維持プログラムを実現できます。
こんな旅行会社におすすめ
既存の顧客基盤を持ち、継続的でターゲットを絞ったメールコミュニケーションによってリピート予約率を高めたい旅行会社。
概要
課題別 AIツール早見表
| 旅行会社の課題 | 推奨ツール | 代替・改善される業務 |
|---|---|---|
| 提案書・コンテンツ作成 | Claude / ChatGPT | 旅行ごとに何時間もかかる手作業でのコピーライティング |
| 顧客向けアプリと日程表の提供 | mTrip | PDF、印刷した日程表、汎用の旅行アプリ |
| マーケティング用ビジュアル | Adobe Firefly / Midjourney | ストックフォトの契約料、フリーランスデザイナーへの依頼 |
| SNS運用 | Buffer / Later | 手作業での投稿、発信の不定期化 |
| 自社サイトでの見込み客獲得 | Tidio | 静的な問い合わせフォーム、営業時間外の見込み客の取りこぼし |
| 顧客との商談・打ち合わせの記録 | Fireflies.ai | 手作業でのメモ作成、顧客の好みの取りこぼし |
| 旅先動画の制作 | Runway | 映像制作会社への費用、SNSでの動画発信の不足 |
| メールマーケティングと顧客維持 | Brevo | 場当たり的なニュースレター配信、低いリピート予約率 |
2026年、お客様が期待するデジタル体験を提供しましょう。
mTripは、世界中で300社以上の旅行会社にブランド化された旅行アプリと日程表プラットフォームを提供しています。開発は不要です。貴社のブランドとコンテンツで、貴社専用のアプリを実現します。
まとめ
何から始めるべきか
AIから最大の効果を得ている旅行会社は、必ずしも最も多くのツールを導入している会社とは限りません。最も時間やコストを奪っている運用上のボトルネックを2〜3個見極め、そこを的確に解決している会社です。
現在PDFで旅行内容を提供しており、初回予約後に顧客が離れてしまっているなら、まずmTripから始めてください。チームが毎週何時間も提案書や旅先の紹介文の作成に費やしているなら、まずClaudeやChatGPTから始めましょう。SNSでの発信が乏しく、サイトへのアクセスがなかなか成約につながらない場合は、まずLaterとTidioを検討してください。
AIツールの導入は、優れた日程表を作るときと同じように進めましょう。目的を持って、一つひとつ着実に、それぞれのツールがどこに位置づけられ、何のためにあるのかを明確にしながら構築することが大切です。
2026年4月公開
タグ:AI旅行ツール、旅行会社向けテクノロジー、日程管理、旅行マーケティング