📘 実践ガイド

旅行会社がAIで日程表を作成する方法 — 実践ガイド

2026年6月公開

手作業での日程表作成は、この20年でほとんど変わっていません。担当者は航空券の予約確認書、ホテルのバウチャー、送迎の予約、そして複数のサプライヤーからのPDFを受け取り、そこから必要な情報を手作業で抜き出し、整形したうえで、旅行者が実際に使える形にまとめます。シンプルな旅行であれば1時間程度で済みますが、複数都市をめぐる複雑な日程表の場合、ほぼ1日がかりの作業になることもあります。

AIはこの業務フローを、実践的かつ目に見える形で変えつつあります。本ガイドでは、現代の日程表作成プロセスにおいてAIが実際に何を行い、何を行わないのか、そしてAIを効果的に活用しているプラットフォームを見極めるポイントについて解説します。

日程表作成において、AIはどのような課題を解決するのか

日程表作成のボトルネックは、創造性ではなくデータ入力にあります。時間がかかるのは、予約書類を読み込み、その内容を構造化された日程表に落とし込む作業です。出発時刻、ホテルのチェックイン日、送迎の詳細、アクティビティの予約情報を抽出し、日程や訪問先ごとに時系列で整理する必要があります。

これはまさにAIが得意とする作業です。AIは非構造化テキスト(予約確認メール、GDSのエクスポートデータ、サプライヤーのPDFなど)を読み取り、必要な情報を特定したうえで、構造化された日程表の該当項目へ自動的に振り分けることができます。

ただし、これはそのまま送付できる完成版の日程表ではありません。正確に構造化された完全な下書きであり、担当者がこれを確認し、パーソナライズしたうえで、クライアント向けに整えます。担当者の判断力、目的地に関する知識、そして旅行者との関係性は依然として中心的な役割を果たします。AIが担うのは、情報の抽出と整理です。

AIによる日程表インポートの実際の仕組み — ステップごとに解説

AIが旅行予約を構造化された日程表に変換する様子を示すイラスト(ノートパソコン、タブレット、スマートフォン画面に表示)

AIを活用した日程表作成ツールの多くは、以下のような流れで動作します。

1. 書類のアップロード

担当者は予約書類をアップロードまたは転送します。GDSの予約エクスポートデータ、ホテルサプライヤーからのPDF、旅行会社(ツアー造成)からの確認メール、ミッドオフィスシステムのスプレッドシートなど、形式はさまざまです。

2. AIによる解析

AIが書類を読み取り、旅行者名、日付、訪問先、予約番号、セグメントの種類(航空券、ホテル、送迎、アクティビティ)、それぞれの詳細情報など、構造化データを特定します。

3. 日程表の組み立て

抽出されたデータは、日程・セグメント・時刻情報が正しい順序で構成された下書きの日程表としてまとめられます。

4. 担当者によるレビューと情報の追加

担当者は下書きを確認し、必要に応じて修正を加え、目的地に関するコンテンツを追加し、文章をパーソナライズしたうえで、自社のブランドテンプレートを適用します。

5. 提供

日程表は、貴社が設定した方法でクライアントに送付されます。アプリ、Webポータル、PDF、またはその全てを組み合わせることも可能です。

重要なのはステップ4です。AIは担当者によるレビューに取って代わるものではありません。AIが短縮するのは、「予約データを入手した」時点から「作業のベースとなる構造化された下書きが手元にある」時点までの時間です。

このプロセスにおいてAIができないこと

旅行テック業界のマーケティングでは、AIの能力が誇張されがちです。そのため、ここでは限界について率直にお伝えします。

予約内容の正確性を検証すること

ホテルの確認書に誤った日付が記載されていた場合、AIはその誤りをそのまま日程表に反映してしまいます。元となる書類を確認する責任は、引き続き担当者にあります。

本質的な目的地の知識を加えること

AIはプレースホルダーとなるコンテンツを埋めたり、コンテンツライブラリから情報を取り込んだりできますが、優れた日程表を作るための現地のおすすめ情報、ペース配分の判断、体験の設計は、依然として担当者の仕事です。

サプライヤー対応や変更への対処

運航の乱れ、キャンセル、再予約への対応には、引き続き人によるサプライヤーとのコミュニケーションが必要です。

この文脈におけるAIの価値は限定的ですが、確実なものです。日程表作成プロセスの中で最も機械的かつ反復的な部分を排除してくれます。

プラットフォームを選ぶ際に確認すべきポイント

AI機能を謳う旅程作成ツールを検討する際に、実務上確認すべき点は次のとおりです。

どのような形式をインポートできるか

自社独自のエクスポート形式しか読み込めないプラットフォームでは、問題は解決しません。GDSのエクスポートデータ(Amadeus、Sabre、Travelport)、ミッドオフィスシステムの出力データ、サプライヤーのPDF、確認メールに対応しているかを確認しましょう。

解析の精度はどの程度か

実際の予約書類を使ったデモを依頼してみましょう。解析の精度はプラットフォームによって大きく異なります。

出力結果は貴社の提供フローと連携するか

AIによるインポートが役立つのは、作成された日程表がクライアントへの提供に使う既存のシステム(アプリ、Webポータル、PDF)にそのまま連携できる場合に限られます。別文書として出力され、あらためて整形が必要になるだけの単独のインポートツールでは、実質的な時間短縮にはなりません。

ホワイトラベルに対応しているか

自社ブランドに投資してきた旅行会社にとって、旅行者向けの成果物に提供元の名前が表示されるプラットフォームは、その投資価値を損なうことになります。

mTripのAI Import Wizardによるアプローチ

mTripの旅程作成ツール(行程表作成ツール)には、GDSシステム、ミッドオフィスプラットフォーム、サプライヤーのPDF、メールでの予約確認書といった予約書類を読み取り、mTripプラットフォーム上で構造化された旅程の下書きに変換するAI Import Wizardが搭載されています。完成した日程表は、貴社ブランドのもと、mTripのホワイトラベルチャネル(モバイルアプリ、Webポータル、PDF)を通じて配信されます。

Import Wizardは、統合・情報付加・配信・リアルタイム更新・旅行者とのコミュニケーションまで、旅程のライフサイクル全体を扱うより広範なプラットフォームの一部です。

mTripの旅程作成ツールの仕組みを見る—AIインポート、複数ソースからの予約統合、ホワイトラベル配信まで。

よくある質問

旅程作成において、AIは旅行会社のスタッフに代わるものですか。

いいえ、代わるものではありません。AIは予約書類を読み取り、旅程の下書きを作成するというデータ入力の工程を圧縮しますが、最終的な日程表の確認、パーソナライズ、フォーマット調整は担当者が行います。担当者の判断力、渡航先に関する知識、そして旅行者との関係は、成果物の中心であり続けます。

旅行の旅程作成において、AIにできないことは何ですか。

AIは予約内容の正確性を検証することはできません(ホテルの予約確認書に誤った日付があれば、そのまま再現してしまいます)。また、コンテンツライブラリを超えた本質的な渡航先の知識を加えることも、サプライヤーとの関係管理や欠航・再手配といったイレギュラー対応を行うこともできません。これらは今も人の手による対応が必要です。

AI機能をうたう旅程作成ツールを選ぶ際、何を確認すべきですか。

実務上確認すべき点は4つです。取り込める書類形式(GDSの出力データ、ミッドオフィスの出力、サプライヤーのPDF、メールでの予約確認書)、貴社が扱う書類での解析精度、既存の配信フロー(モバイルアプリ、Webポータル、PDF)に組み込めるかどうか、そして旅行者向けの成果物が貴社ブランドのホワイトラベルで提供されるかどうかです。

mTripのAI Import Wizardはどのような仕組みですか。

GDSシステム、ミッドオフィスプラットフォーム、サプライヤーのPDF、メールでの予約確認書といった予約書類を読み取り、mTripプラットフォーム内で構造化された旅程の下書きに変換します。作成された日程表は、貴社ブランドのもと、mTripのホワイトラベルのモバイルアプリ、Webポータル、またはPDFを通じて配信されます。

旅程作成ツールを比較検討中の方は、2026年版・旅行会社向け旅程作成ツール比較ガイドをご覧ください。

貴社の予約書類でAI Import Wizardの動作をご覧になりたい方は、デモを申し込む(資料請求も可能です)。